中小企業の事業承継ブログVol.7 ~事業承継の失敗事例 現経営者編~

こんにちは! 事業承継専任スタッフの横田です。

 

少し前になってしまいますが、秋の4連休がありましたね。

皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか?

テレビのニュースでは観光地が賑わいを戻しているところが随分とクローズアップされていましたね。

 

私もせっかくなので、カーフェリーを使って佐渡島への旅行を計画していましたが、

GoToキャンペーン対象の旅館やホテルが予想以上に満室が多く、

やむなく隣県の妻の実家に2泊3日の訪問へと変更となってしまいました。

 

子供たちにとっては、じいちゃんばあちゃんに会えて、近くの広い公園で遊べて、

妻にとっては実家でゆっくりすることが出来たので

まあまあ充実した時間を過ごせたのではないかと思っています。

 

今後の新型コロナ感染者数の推移はやはり気になるところではありますが、

旅行・宿泊業界のみならず、様々な業界が活気づいていくことを期待しております。

 

 

さて、今回のブログのテーマは「事業承継の失敗事例」です。

前回は現経営者が事業承継前にやっておいてもらいたいこと

①今までの会社の歴史を振り返る

②会社の現在価値を知る

③自分の財産を把握する

④引退後のセカンドライフを計画する

について書きましたが、これらをしなかったがゆえに起こる失敗例の一部を今回はご紹介します。

 

 

・代表権を譲った後に会社の方針が大きく変わってしまった

 

 

なにがいけないの?

と真っ先に思われた方もいらっしゃるかと思います。

経営者が後退したので、後継者がリーダーシップを発揮して会社の方針を変えること自体にはなんら問題はありません。

問題が起きるのは、会社の歴史をよく知らないままに方針を変えてしまうようなケースです。

 

今までの会社の歩みをしっかりと引き継がなかった場合によく起こります。

先代から会社の歴史を教えてもらっていないため、大切なステークホルダーが誰なのかわからないまま事業を引き継ぎ、

改善のための取引先の整理によって、大得意様を怒らせてしまい、他の取引業者とも距離を置かれるようになってしまった、

といったことが実例としてあります。

 

後継者は引き継いだ後、意欲をもって会社の改善に取り組まれます。

その障害とならないように、今までの歴史を伝えることは引き継がせる側の義務だと考えています。

何が大切で変えてはいけないのか?

変えたいことで利害関係者に影響することについては誰に相談すべきなのか?

会社の歴史を伝える際に、せっかくなので話し合ってみてはいかがでしょうか。

 

 

・従業員の大量離職が起きてしまった

 

 

事業承継のタイミングで従業員が離職することはよくありますので、特に不思議なことではありません。

離職の理由はいくつかあります。

後継者が経営者となることに不安を持っているので退職したい

先代への義理で勤めていたけれど、後継者には義理がないので退職したい

なんとなくきっかけがあれば辞めるつもりだった

 

退職の理由は何であれ、経営者としては退職リスクに対して後手後手に回らないことです。

承継前に今後の会社の組織体系をどのように考えているのか?

そのために必要な人材はそろっているのか?そろっていなければどのように登用するのか?

引き継いだ後に経営の障害となるような人物はいるのか?いたらどのように対応するのか?

を考えて、実行できるように準備しておくことが必要です。

 

 

・株式の引継ぎを放置していて相続争いが起きてしまった

 

 

親子間の承継で特に起こりがちです。

 

会社の株式の譲渡まで考えていなかった、という経営者の方は少なくありません。

それ以外にも、株価評価をしたところ、思いのほか高額になっていて、

買い取ってもらうには高すぎるし、ただで譲れば贈与税がかかるため、

しばらく放置している、という経営者も多くいらっしゃいます。

 

ただし、放置していても株価が下がったとき以外のメリットはありませんし、

株を所有したまま経営者が死亡した場合には、株式は相続財産としてカウントされてしまいます。

自社の株式は換金性の低い資産のため、相続財産に含まれてしまうと争いの引き金となってしまうケースがよく見受けられます。

 

現在は、引き継ぐ側の税負担を減らすための事業承継税制なども整備されていますので、

どのように株式を引き継いでいったらよいのかを、弊社など専門機関のご相談いただくことをお勧めします。

 

 

・代表権を譲ったのに前社長がずっと会社に居座るようになってしまった

 

 

これは非常に多くの企業で見受けられます

経営者が社長を譲った後、会長職として残り、

今までと変わらず社長室を占領していたり、

取引先との商談の窓口を続けていたり、

お金の出し入れを自分の裁量でおこなったりするケースです。

 

これらは、引き継がせる側の覚悟がしっかりと定まっていないまま事業承継をしたときに起こります。

経営者にとっては自分の会社なわけですから、経営者になってからのほとんどの時間を会社のために費やしてきたと思います。

そのため、会社への愛着があり、なかなか離れがたいことは十分に理解できるところです。

 

しかし、引き継いだ後に長々と会社に居座ることで、

・利害関係者の応対が前経営者に向かう

・組織体系を無視した指示命令系統ができてしまう

・会長在任中は報酬コストがかかってしまう

・何より現経営者が会社の経営をやりずらい

といった弊害が生じてしまします。

 

これらを解消するためにお勧めしているのが、前経営者が会社に来る時間を減らすために、

趣味や、ほかの事業を立ち上げてそちらに時間を費やしてもらうことです。

そのためには、経営者を引退した後のセカンドライフを早いうちに考えておくことです。

社長として忙しくてできなかった趣味、

奥様に苦労をかけてねぎらいたくてもできなかったこと、

これから残りの人生を、なるべく会社に関わらずどのように過ごそうか?

と考えていただくことで、出社の機会を自発的に減らしていくことができます。

 

承継をしたのですから、会社の後のことは後継者にしっかりと任せたいですよね!

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

ほんの小さなことが、承継時または承継後に大きな問題となってしまうことが多くあります。

事前に様々なリスクを考えて、それぞれの対応策を練っておくことが事業承継では大切です。

 

今回挙げた失敗例は、コミュニケーション不足に起因することがほとんどですので、

経営者と後継者の間でしっかりとコミュニケーションがとれているかどうか、

第三者も交えて確認してみてはいかがでしょうか?

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