中小企業の事業承継ブログVol.11 ~事業承継税制を知る①~

 

皆さんこんにちは! 事業承継専任スタッフの横田です。

 

 

早速ですが、まずは告知をさせていただきます。

 

弊社では、事業承継のご相談を随時承っております。

今までは、直接お会いしてご相談に対応させていただいておりましたが、

新型コロナの第3波が大きく報道されている中、お客様の安全を第一にと考え、

Zoomまたはメールによるご相談へと様式を変更させていただきます。

 

Zoomではお時間の空いた時にすぐにでもご相談いただけるメリットがありますし、

メールでは思いついた度にご相談内容をお送りいただければ、

小さなことでもお気軽にご相談できるメリットがあります。

 

ご相談受付は弊社HPの「お問い合わせはこちら」から、

必要事項ならびにお問い合わせ欄に「事業承継の相談」とご記入いただきお申し込みください。

お送りいただいた内容を確認後、こちらから改めて日程調整等のご依頼のご連絡をさせていただきます。

 

 

 

さて、前回は「経営承継円滑化法」について概要をお伝えいたしましたが、

今回は円滑化法の中の柱のひとつ、「事業承継税制」について紐解いていきたいと思います。

※今回は法人版の事業承継税制についての解説となります。

 

 

事業承継税制については、すでに様々な場面で紹介されていますので、いまさら感はありますが、

おさらいの意味も込めてその制度の概要をご説明させていただきます。

 

 

事業承継税制とは、事業承継を契機とした株式の相続または贈与が行われた際、

本来支払うべき相続税や贈与税を払わなくてよい、という制度です。

払わなくてもよい、といっても完全に「免除」となるわけではなく、あくまで「猶予」であることがポイントです。

ではいつまで猶予されるのかというと、贈与者(先代経営者)の死亡または受贈者(後継者)の死亡の時までとなります。

おおざっぱではありますが、贈与した場合は猶予されていた贈与税が免除されて相続税に切り替わり、

相続した場合には猶予されていた相続税が免除される、と覚えていただければよいかと思います。

 

 

ただし、事業承継税制を適用させるためには、会社・先代経営者・後継者それぞれが下記要件を満たしている必要があります。

 

 

・会社の要件としては

①中小企業者であること    ②上場会社ではないこと

③風俗営業会社ではないこと  ④直前年度の売上高が1円でもあること

⑤社会保険に加入している従業員が1人以上いること   ⑥資産管理会社ではないこと があります。

 

 

①の中小企業者ではないこととは、下図のように業種別に資本金または従業員数が一定数以下であることが要件となります。

 

 

業種                      資本金   従業員数
ゴム製品製造業(自動車タイヤ製造業等を除く)  3億円以下  900人以下
製造業等                    3億円以下 300人以下
ソフトウェア・情報処理サービス業        3億円以下 300人以下
卸売業                     1億円以下  100人以下
旅館業                    5000万円以下 200人以下
サービス業                  5000万円以下 100人以下
小売業                    5000万円以下 50人以下

 

 

②と③についてはそのままの通りですが、気を付けなければならないのは、

株式を相続または贈与する当該企業だけでなく、

特定特別関係会社(経営者が議決権の過半数を所有している会社)が

上場会社または風俗営業会社に該当しないことも必要です。

 

 

④と⑤については一般的な会社経営をしていれば問題ないように思えますが、

家族経営でかつ全員が役員などのケースでは注意が必要です。

 

 

⑥の資産管理会社は少し注意が必要です。

不動産会社などはまさにここに該当してしまいます。

または、有価証券などを運用している場合にも引っかかる可能性がありますので、

ほとんどの場合には該当しないものの、一度確認をしていただくことをお勧めします。

また、不動産管理会社であっても、以下を満たせば事業承継税制を使えることになっています。

 

・相続または贈与の日まで引き続き3年以上にわたり商品販売または役務の提供をして対価を得ていること

・相続または贈与の時に常時従業員数が5人以上いること(後継者と後継者と生活を一にするものは除きます)

・相続または贈与の時に従業員が勤務している事業所等の施設をを所有または賃借していること

 

それぞれ確認をしてみてください。

 

 

 

・先代経営者の要件としては、

①会社の代表権を有していたこと

②相続または贈与の直前に同族関係者と合わせて50%超の議決権を有しており、

かつ同族関係者の中で最も多くの議決権を有していたこと

③(贈与の場合)贈与時に代表権を有していないこと

 

 

代表者であったこと、というのが一つのポイントとなっています。

特に家族経営の場合、経営者の配偶者が多くの株式を所有していることも多く、

そういった株式については事業承継税制の対象とはなりません。

後継者へ暦年贈与をするのか、買い取ってもらうのか、相続発生まで引っ張っておくのか、

合わせて検討しておく必要があります。

 

 

 

・後継者の要件としては、

①20歳以上であること(令和4年4月1日以降は18歳以上)

②会社の代表権を有していること

③贈与の日まで引き続き3年以上会社の役員であること

④贈与時に同族関係者と合わせて50%超の議決権を有していること

⑤(後継者が1人の場合)同族関係者の中で最も多くの議決権を有していること

(後継者が2人または3人の場合)そう議決権数の10%以上を保有し、

かつ同族関係者(他の後継者を除く)の中で最も多くの議決権を有していること

 

ここでは役員就任年数がポイントとなります。

自分の子供を呼び寄せたり、外部からの招聘により事業承継を行う場合には、

なるべく早いタイミングで役員登記を済ませておくとよいと思います。

 

また、現在は事業承継税制の特例措置として複数人への贈与が可能となっていますが、

株式分散のリスクがあるため実務としては使う機会がほとんどなく、

スルーしていただいても結構です。

 

 

上記のような要件をすべて満たすことができて、ようやく事業承継税制の適用を受けることになります。

適用を受けるための手続きや、適用を受けた後に会社が取り組まなければならないことについては、

次のブログにて続けて解説をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

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