中小企業の事業承継ブログVol.13 ~事業承継税制を知る③~

 

皆さんこんにちは! 事業承継専任スタッフの横田です。

 

 

先週の半ばより、大寒波による大雪が発生しましたね。

私の自宅も日本海側の山間部にあるため、例にもれずかなりの積雪を記録しました。

毎朝5時に起きて外をチェックし雪かきをする・・・

雪国生まれ、雪国育ちのため慣れているつもりですが、

急に降られたこともあり、さすがに腕が筋肉痛でパンパンになりました・・・。

年末年始も天候が崩れるような予報が出ていますので、

雪の降る地域の皆様はくれぐれもお気を付けいただきたいと思います。

 

 

 

さて、前回は事業承継税制の手続きについてお伝えいたしました。

 

今回は事業承継税制が適用できた後の手続きや注意点について解説させていただきます。

内容につきましては、前回に引き続き、法人版事業承継税制、かつ時限措置である特例制度についてのお話となります。

 

事業承継税制による納税猶予は、あくまで猶予ですので、いずれは納税をしなければなりません。

ではそのタイミングはいつになるのか?というと、大きく分けて2つのパターンがあります。

 

一つは免除事由に該当する(納税猶予が免除される)パターン、

 

もう一つは期限確定事由に該当する(納税猶予がおわり、猶予された納税が発生する)パターンです。

 

 

免除事由(納税猶予が免除される)に該当するケースは、

 

・贈与した先代経営者または贈与された後継者が亡くなった時(贈与税が免除、代わりに相続税発生)

 

・相続した後継者が亡くなった時(先代の財産に対する相続税が免除、後継者の相続人に相続税発生)

 

・後継者が次の後継者に納税猶予にかかる贈与を行った時(経営承継期間はやむを得ない理由があるときに限る)

※経営承継期間とは、該当する最初の贈与税または相続税の申告期限から5年間のこと

 

さらに、経営承継期間後であれば、会社の民事再生、破産、合併による消滅などの事由により

猶予税額の一部が免除となることもありますが、それぞれの事由により免除税額が異なりますので、

ここでは詳細は触れませんが、気になる方は遠慮なくお問い合わせいただければと思います。

 

 

 

期限確定事由(納税猶予がおわり、納税が発生する)に該当するケースは多岐にわたります。

基本的には申請時の要件を満たさなくなったときですが、一部を以下に列挙します。

 

・後継者が代表権を持たなくなった時

 

・特別関係者(親族など)と合算した議決権割合が50%以下になった時

 

・特別関係者(親族など)の中で他の後継者を除き筆頭株主でなくなった時

 

・該当株式を譲渡または贈与した時

 

・納税猶予の適用の取り消し手続きをした時

 

・先代経営者(贈与者)が代表権を再び有した時

 

・常時使用する従業員の数が5年平均で80%未満であり、特例承継計画の報告書を提出しなかった時

 

・承継会社が解散またはみなし解散した時

 

・承継会社が消滅した場合

 

・承継会社のいずれかの事業年度で総収入額が0円となった時

 

などです。

 

こちらも、経営承継期間中と期間後により納税額が変わるケースがありますので注意が必要です。

 

 

 

次に、納税猶予の適用を受けた後に提出する書類についてですが、

都道府県と税務署にそれぞれ書類の提出が必要となります。

 

都道府県については、経営承継期間の5年間は年次報告書と、

免除事由や期限確定事由が発生した場合には、それぞれその旨の報告書を提出します。

また、経営承継期間に関わらず、贈与者の相続が発生した場合はその旨の申請手続きが必要となります。

 

 

税務署については、経営承継期間に関わらず、納税猶予の適用を継続する限りにおいて

毎年継続届出書を提出します。

また、免除事由に該当し納税免除が可能な場合には、提出期限までに免除届出を行わないと

免除が認められなくなる場合もあるため、どのようなケースで免除とすることができるのか、

事前に把握しておくことが重要となります。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

株価の高騰により相続に心配をお持ちの方には非常に猶予な事業承継税制ではありますが、

うっかり手続きを忘れてしまうと認定取り消し、

急に納税が必要になってしまうといったことが起こりうることがご理解いただけましたでしょうか?

 

 

適用申請から継続申請までの書類作成は複雑であり、片手間ではなかなかできないものでもありますが、

事業承継税制によるメリットはやはり大きいものがありますので、

我々専門家の持つノウハウを活用していただき、よりスムーズな事業承継を行っていただきたいと切に願っております。

 

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