多くの中小企業が直面している課題のひとつに、「バックオフィス業務の人手不足」があります。
経理・総務・人事・労務といった管理部門は、会社の基盤を支える重要な機能ですが、採用難・業務量の増加・属人化などの要因により、現場が疲弊しているケースも少なくありません。
そこで今回は、バックオフィスの人手不足に対応するためにどのような「選択肢」があるのか、そして自社に最適な判断を行うための「検討要素」について整理します。
人手不足に対応するための8つの選択肢
人手不足に対応するための主な手段は次の8つです。
1.正社員の採用
長期的な育成・定着を前提に、社内の中核となる人材を確保する方法です。
専門性の高い業務や、社内にノウハウを蓄積したい場合に向いています。
2.契約社員の活用
一定期間・特定業務に限定して雇用する形態で、繁忙期対応やプロジェクト単位の業務に柔軟に対応できます。
3.パート・アルバイトの活用
勤務時間や出勤日数を柔軟に設定でき、必要な時間帯・業務量に合わせて人員を配置しやすい方法です。
比較的コストを抑えやすい点も特徴です。
4.派遣社員の利用
必要なスキルを持つ人材を短期間で確保しやすく、採用・教育の手間を軽減できます。
業務内容によっては即戦力として期待できます。
5.アウトソーシング(業務委託)
給与計算、経理入力、総務手続きなど、ルール化しやすい業務を外部に委託する方法です。
内部人材を他の業務に集中させる効果が期待できます。
6.オンラインアシスタントサービス
チャット・メール・クラウドツールを活用し、事務作業をオンラインで代行するサービスです。
小規模企業でも導入しやすく、スピーディに業務量を軽減できます。
7.DX(自動化・システム導入)による省人化
会計・勤怠・給与・請求などの業務をシステム化することで手作業によるミスを減らし、担当者の負担軽減を目指す方法です。
運用が定着すれば、大幅な効率化が期待できます。
8.業務の標準化・マニュアル化
業務手順を明確化し、属人化を解消することで、誰でも一定の品質で業務を遂行できる状態を整える方法です。
人員の入れ替わりがあっても業務品質を維持しやすくなります。
選択肢を比較する際に考慮すべき6つの検討要素
対応方法を選択する際には、以下の6つの要素で整理すると検討が進めやすくなります。
1.業務の性質・重要度
コア業務(経営判断に関わる業務)か、ノンコア業務(定型・事務作業)かを見極めます。
標準化・マニュアル化できる業務ほど外部化に向いています。
2.コスト構造
採用・教育などの初期費用に加え、給与・社会保険料・外注費などの維持費を比較します。
例えば、正社員は固定費化しやすく、アウトソーシングは変動費化できるという違いがあります。
3.柔軟性
繁閑差に対応できるか、短期対応が可能かを確認します。
例えば、派遣社員やオンラインアシスタントは即戦力の確保に適しています。
4.品質・生産性
業務品質の安定性、属人化リスクの有無、改善・ナレッジ共有の仕組みが整っているかを確認します。
5.マネジメント負荷
社内での指示・育成・進捗管理をどの程度必要とするかを整理します。
派遣社員は管理負荷が高くなりがちで、アウトソーシングやオンラインサービスは管理負荷が低い傾向にあります。
6.リスク・導入スピード・将来性
情報セキュリティ、法令遵守(派遣法・電子帳簿保存法 等)、導入までのスピード、組織文化への影響などを総合的に判断します。
まとめ
バックオフィスの人手不足は、多くの中小企業にとって「採用の問題」に見えがちですが、実際には業務設計・運用方法・人材の組み合わせ方といった複数の要素が絡み合っています。
そのため、単一の手段で解決しようとするのではなく、自社の課題や業務特性に合わせて複数の手段を組み合わせることが重要です。
自社の現状を客観的に把握し、最適な選択肢を組み合わせることで、持続的に回るバックオフィス体制を構築していきましょう。
最後に
ここまで読んでいただきありがとうございます。
記事内で紹介しきれなかった内容も含め、検討のポイントや解決事例をまとめた資料をご用意しました。ぜひ、自社のバックオフィス改善にお役立てください。






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