経営判断に役立つ試算表とは?② ~試算表の精度UPのための科目ごとの検討①~

こんにちは!株式会社ISTコンサルティングです。

 

試算表」シリーズの第2弾です。

前回ブログをお読みでない方は、ぜひこちらをお読みください。

 

今回は「試算表の精度を上げなければいけないことは分かったけれど、具体的にどの科目を検討すればいいの?」というご質問にお答えいたします。

なお、それぞれの内情によって試算表の精度を向上すべき科目は様々です。以下は、あくまで一般的な事例とお考えください。

御社の試算表(ない場合は決算書)をお手元にご準備ください。

 

【貸借対照表科目】

〇現金

最も基本的な部分ですが、金融機関が最も注視するところです。

当座・普通・定期等の「預金」は通帳に履歴が残り、決算の際には金融機関より残高証明書が発行されるので、実態に沿わないことはあまり考えられません。

問題になり得るのは「現金」です。

 

<チェック項目>

1つでもチェックがつかなかったら「現金」科目に課題アリ!

□現金実査(=現金を実際に数えること)を定期的に行っている。

※定期的…理想は毎日。現金が頻繁に動かないところであっても週1回。

□硬貨や紙幣だけでなく、他社振出小切手も定期的に実査している。

□数えた現金の実際有高と、試算表や決算書上の現金残高(帳簿残高)を合わせている。

 

<なぜ重要?>

例えば、現金が200万円あるという試算表を金融機関へ提出したものの実際には50万円しかない場合、金融機関はどう捉えるでしょう。

帳簿残高に150万円の架空現金が計上されていたことになり、故意かどうかに関わらず、「粉飾決算をしている会社」と判断されてしまいます。

こうなると試算表の信頼度は急激に下がり、融資自体が見送りになる可能性が非常に高くなります。そのため、現金が実際と異なっている場合は最優先で対処にあたりましょう。

 

〇売掛金

売上になったが未だ入金になっていないものを「売掛金」といいます。いわゆる“ツケ”です。

<チェック項目>

1つでもチェックがつかなかったら「売掛金」科目に課題アリ!

□倒産した得意先分は残っていない。

□月1回以上計上しており、請求残高と突合し確定させている。

 

チェック項目の意味は、以下の2つがあります。

 

(1)実態のない売掛金が存在していないか

倒産した得意先の売掛金は、基本的に回収が見込めません。売掛金をはじめとする資産科目は「将来現金化できるもの」という意味があるので、倒産先の売掛金が残っているのであれば、実態のないものが混ざった科目となってしまいます。

ちなみに得意先が倒産し法的な手続きをしているかどうかは、法務局で履歴事項全部証明書や閉鎖事項全部証明書を入手すれば確認できる場合があります。

 

(2)タイムリーな売掛金が計上されているか

会計には「現金主義」と「発生主義」という2つの考え方があります。

★現金主義とは

現預金の入金・支払のタイミングで売上・経費を計上します。

★発生主義とは

納品のタイミング(※)で売上や経費を計上します。

(※)厳密には、御社の採用している計上基準により「検収」などの別のタイミングになる場合もあります。

(例)4月納品、8月入金の場合

発生主義だと納品した4月に売上計上、現金主義だと入金された8月に売上計上となります。

もしも現金主義で売上を計上しているのであれば、発生主義への切り替えをオススメいたします。

理由は、現金主義だと経営判断に役立つ試算表になり得ないからです。

現金主義の場合の〇月売上とは、実際には〇月分の入金額なので、実は1年前に納品した得意先からようやく入金になったもの、かもしれません。

経営の指針とするには、発生主義によりタイムリーに売上・売掛金を把握する必要があります。

 

 

……紙面の都合上、本日はここまでですが、次回も引き続き「試算表の精度UPのための科目ごとの検討」というテーマです。

 

なかなか文章では伝わらない部分もございますので、ぜひお気軽にご相談ください。御社の経営資源をお聞きしながら、試算表の精度向上のためのアドバイスをいたしますので、その際は試算表をお持ちください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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